和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月19日(金)

都道府県負担「全く論外」 給食と高校の無償化で和歌山県知事

「小学校給食費無償化」や「高校無償化」についての全国知事会会議にオンラインで出席する宮﨑泉和歌山知事(11日、県庁で)
「小学校給食費無償化」や「高校無償化」についての全国知事会会議にオンラインで出席する宮﨑泉和歌山知事(11日、県庁で)
 全国知事会は11日、国が来年4月から実施予定の公立小学校給食無償化や高校の授業料無償化を巡って、自民、維新、公明3党から、都道府県に財政負担を求める提案があったことを受け東京都で会議を開いた。反対意見が相次ぎ、オンライン参加した宮﨑泉和歌山県知事も「やり方は全く論外だ」と述べ、国が責任を持って全額措置すべきだとの考えを示した。


 全国知事会は公立小の給食や高校授業料の無償化について、国の責任で実施し、地方に負担を転嫁しないよう求めてきた。しかし、3党実務者の代表から9日に都道府県負担の提案があったことから、意見を取りまとめるため、急きょ会議を開いた。提案は国が「給食無償化」は2分の1、「高校無償化」は4分の3をみるが、残りは都道府県が負担する内容。都道府県の負担額は、地方交付税措置するとしている。

 会議で各知事からは「国が責任を持つのが筋論」など全額国が負担すべきだとの指摘があったほか、交付税措置の方法を取る場合でも「項目を追加するだけでなく、確実に増額してほしい」「都道府県に一切の負担がないよう、恒久的に措置されることが必要」などの意見があった。元文部科学相の馳浩・石川県知事も「(提案は)到底のめない。押し戻していただきたい」と知事会執行部に求めた。

 設定された給食費支援基準額にも「実際の給食費と差が大きい」などの不満が多く上がった。差額は保護者からの徴収も可能としていることから「無償化という言葉は誤解を生む」との意見もあった。

 さらに、都道府県の次年度予算編成が進む時期に、3党から、大きな影響がある提案があったことについて「やり方が乱暴。前例とすべきではない」「当惑している」「極めて遺憾」「納得できない」「ありえない」など不満が噴出。宮下宗一郎・青森県知事も「政党が勝手に決めたことの地方への押し付けが横行すれば地方自治の危機を招く。政府から各都道府県に丁寧な説明があるべきで、党や知事会執行部から説明を受けるのはおかしい」と憤った。

 和歌山県では昨年10月から、市町村と負担を折半する形で小中学校の給食無償化を開始。県の負担は年間約15億円に上る。


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