和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2025年12月18日(木)

ずっと働きたい会社とは/特定社労士が伝える/和歌山市でセミナー

従業員がずっと働きたいと思える会社について講演する特定社会保険労務士の中村有希さん(和歌山市で)
従業員がずっと働きたいと思える会社について講演する特定社会保険労務士の中村有希さん(和歌山市で)
 ずっとここで働きたいと思う会社へ―。働き方改革を推進する県のセミナーが和歌山市であり、特定社会保険労務士の中村有希さん(和歌山市)が、会社に人材を定着させるための心得を伝えた。会社が従業員の思いに合わせて変化し、トラブルに適切に対応するなどして信頼される存在になることが大事だという。


 中村さんは、働き方改革が進んでいる一方、採用しても辞めていく人が多いと指摘。「ずっと働きたい」と思われるには、適正な労働時間や働き方の選択肢が多いといった「働きやすさ」だけでなく、正当に評価され、成長できる機会が多いなどの「働きがい」も必要だとした。

 「会議などでは問題点や改善点は話し合われるが、いいことはあまり話題に出ない」といい、従業員を褒めることも大事だとした。

 以前は転職などによるキャリアアップを目指す人が多かったが、いまは終身雇用を望む新入社員が増加。それなのに定着しないのは、自身の考えと会社とのミスマッチが起こっているためだという。

 「残業代が出なくて当たり前とか、背中を見て覚えろとかは通用しない。新入社員が何に重きを置いているかに合わせて会社も変化してほしい」と強調。「先輩がつまらなそうに仕事をしていると、将来を想像してやる気をなくしてしまう。中堅社員をどれだけ大切にするかも大事」と述べた。

 セミナーは、県や近畿経済産業局、県内の経済団体、労働団体などでつくる「和歌山働き方改革推進協議会」(事務局=和歌山労働局)の主催。会場とオンラインを合わせ、企業の人事労務担当者ら約40人が参加した。中村さんは、県社会保険労務士会が厚生労働省の委託を受けて運営する「和歌山働き方改革推進支援センター」の特定社労士を務める。